新年のごあいさつ

公益社団法人 大阪聴力障害者協会
会 長  長 宗 政 男

 新年おめでとうございます。
 会員の皆様におかれましては、良きお正月をお迎えのことと存じます。
 昨年は、6月に手話施策推進法が施行されました。私たち手話を使うきこえない人の悲願となる、手話に関する法律がようやく実現しました。当会も、2012年から「手話でGO!」パンフレットの普及運動や、東京での議員要請行動とパレードへの参加、「手話言語法(仮)の早期制定を求める意見書」の全市町村議会での採択実現など、皆さんと一緒に様々な活動に取り組んできました。10年以上の時を経て、ようやく実現した法律です。
 一方で、法律による具体的な施策が見えないという課題もありますが、各地域の手話言語条例と連動させて、手話に関する施策の推進をより一層強く訴えていかなくてはなりません。
11月には東京2025デフリンピックが開かれ、12日間の会期を無事に終了しました。大阪からも44名の選手・スタッフが日本代表に選出され、33名の選手・スタッフが入賞されました。
 特に、9月23日の手話言語の国際デーに大阪府との共催で実施した、イオンモール茨木のデフリンピック応援イベントinおおさかに登壇された、空手の森選手や女子バレーボールの梅本選手ご姉妹、戌丸選手、石原選手は、激闘の末見事金メダルを獲得されました。大阪ろうあ者スポーツ大会にご参加いただいた女子バスケットの和田選手も金メダルに輝いています。まことにおめでとうございます。
 今回のデフリンピック開催にあたり、茨木でのイベントのほか、キャラバンカーが府内のろう学校や行政を訪問するのに大勢の選手が同行くださりました。これをきっかけに、デフアスリートの皆様に親しみをおぼえ、より一層応援に力の入った方も大勢おられることと思います。
 東京オリンピック・パラリンピックの時は、外国人や様々な身体障害を持つ人のために、都内の公共交通や公共施設などでのバリアフリー化が進められたと言われています。今回のデフリンピックでも、開閉会式の体育館内では、音声認識で日本語・英語を文字表示する電光板が4ヶ所、日本語手話通訳者と国際手話通訳者が並んで表示されるモニターが左右2ヶ所、正面には各種案内を表示する大型モニターが設置されるなど、手厚い情報保障が見られました。
 大阪は競技の開催地ではありませんが、デフリンピックの理念である共生社会の実現に向けて、府内自治体のキャラクターを応援隊に登録する運動を行いました。結果的に49体(2025年12月末で51体)のキャラクターが登録を達成、各自治体にデフリンピックの理念を啓発する一助となりました。
東京2025デフリンピックは終了しましたが、この大会が国民にデフスポーツのことを強く周知した成果を、手話施策推進法、手話言語条例による施策につなげていくことが今後求められます。
 過去、昭和30~40年代に、私たちの先輩は「きこえない人同士が手話で安心して話せる場」を求め、大阪ろうあ会館が作られました。これからは、きこえる人もきこえない人も、自由に手話で話ができる共生社会の実現を目指していきましょう。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

(ろうあ大阪 2026年新年号より)